やだ、私、なに変なことを考えているんだろう。
でも、追いかけてきたって書いちゃったし、終わるまで待ってるから話したいなんて……これじゃ誤解されても仕方ない書き方だよね。
そんなつもりないのに、結城くんにそう思われたらどうしよう?
迷惑だと思われちゃう。
大変、書き直さないと!
変な方向へ心配が働いて、慌てて今書いた文章に訂正の二重線を引く。
その下に【やっぱりまた今度にする】と書き直そうとしたら、結城くんの左手が私の右手を握って止めた。
私の手をすっぽりと包んでしまう、大きな手。
当たり前かもしれないけど、女の子の手と全然違う。
ドキドキ……ドキドキ……。
男の子に手を握られたことなんてないから、どうしていいのかわからないくらいに恥ずかしくて、心臓が壊れてしまいそう……。
一方結城くんは、相変わらずの無表情をキープしている。
左手で私の右手を包むように握ったまま、右手でノートにサラサラと返事を書いていた。
【君が聞きたいことは理解している。過去のことだろ?
確かに俺は、遠い過去に君に出会った。
君は忘れてしまっても、俺にとっては大切な思い出。
悪いけど、今の君にあの時の大切な思い出の中に踏み込んで欲しくない。
君らしい君に戻ってくれるなら、全てを話すよ】


