私は、準備を進めながら彼の話を聞いていた。 

もちろん、彼のこの声は私の頭の中だけに響いてるから、二人には聞こえない…

(どうしてそのこと知ってるの…?)

『あなたがここに来る前…電車のなかだったかな…
一度、あなた達のそばを離れた…
誰かに呼ばれた気がして…けど、完全に離れられなかった。』

(うん…雅也くんはミカのことが心配で、生霊となって彼女のそばにいる…だから、ミカのそばからは完全には離れられないんだよ…)

『…そうだったのか…だから…か。
あなたが、準備を始める前また声が聞こえた。
今度はすぐ近くで…その声を探してた…そしたら、1人
人間がいたんだ…ちゃんと生きてる人が…』

(え……生きてる人間が霊界に…?
まさか…この世界と霊界を行き来できるの……?)

『分からない…けど、その人に言われたんだ…
「今から、彼女がしようとしてることは危険だ。
君も彼女も…。君はちゃんと自分の体に戻れるのか…?」って……だから…』