「あ…でも、やっぱり…呼び方変えたいって言うのも捨てがたいし…手料理も食べさせて欲しいしなぁ…。」

「何言ってるの…。」

(もうやめてよ…。)

「どうしようかなぁ…迷うなぁ…。」

薫はアイスを食べる手を止めて、少し考えてから静かに息をついた。

「笠松くん…そういうの私に求められても困るよ。前にも言ったでしょ?そういう事は…彼女にやってもらって。」

薫の言葉を聞くと、それまで楽しそうに笑っていた志信は一瞬真顔になって、薫の顔をジッと見た。


“だったらオレの彼女になってよ。”


思わずそう言いかけて、志信はその言葉がこぼれ落ちないように、奥歯をグッと噛みしめた。

そして、薫からそっと目をそらすと、少し寂しげに笑った。

「ハハ…ちょっと飲みすぎたかな…。ごめん、つい調子に乗っちゃった。」

「うん…。」