「いや、マジで。足とかキレイだし…。」

「それセクハラ。変なとこ見んな。」

「そうかなぁ…。本音なんだけどな。」

厳しい薫の指摘に志信は苦笑いした。

「まぁ…元気出しなよ。昼は好きな物食べていいからさ。って言っても、社食だけど。」

「そうだったね。社食なんて、久し振り。」

他の社員たちに混じってエレベーターに乗り込むと、薫は少し笑って志信を見た。

「じゃあ今日は…一番高いの食べる。」

「遠慮なくどうぞ、姫。」

「だから、姫はやめてよ…。」

照れ臭そうにうつむく薫を、志信はジッと見つめていた。

(そんなかわいい顔するんだ…。)