「でも、オレのためにキレイになろうとしてくれたの?」

「うん…。長野さんが、“魔法を掛けてあげます!!”っていろいろしてくれてね。」

「魔法?」

志信が不思議そうに首をかしげる。

「女としての自信が持てる魔法なのかな…。私が女らしくないから捨てられたのかなとか…志信だってキレイでかわいい女の子の方が好きに決まってるとか…結局、よく考えたらなんの努力もしないでそれを言い訳にしてた…。」

志信は薫の頭を撫でて、優しく笑った。

「オレのためにキレイになろうとしてくれるのは嬉しいけど、あんまりキレイになると他の男に盗られちゃうんじゃないかって、オレが不安になるよ。」

「盗られないよ…。」

薫は照れ臭そうに呟いた。

「オレはどんな薫でも好き。汗流して一生懸命仕事して、思いきり食べたり飲んだりして笑ってる薫が一番好き。」

「ありがと…。」