………もう本当に。
なんでこんなに優しくするの……。
まだ渚のことを過去にできていない私からしたら、こんな風に優しくされるのは辛い。
でも、こんな時に「やっぱり好きだな」と思う。
それからなるべく渚の顔を見ないようにと下を向いていたら、「まだしんどいのか?」と言って額に手を当ててきた。
そのせいで顔が赤くなってしまったのを見られて、余計に心配された。
そういう鈍感なところには腹が立つけれど、渚は昔からこうだったからとても切なくなる。
「だ、大丈夫だよ」
そう言ってすぐに会話を終わらせると、渚は眉間に皺を寄せたが、見ないふりをした。
それから少しの時間が過ぎて、チェックアウトの時間になった。
二人で下に降りて、フロントのロビーのところで座らされた。
「ここで待ってろよ?」
「え?」
「チェックアウトしてくるから」
「あ、うん。ありがとう」
そう言って渚が歩いていくのをぼんやりと眺めながら、私はまた眠りについていた。


