それからは目まぐるしく日は過ぎていって。


今日はもう朱里との旅行の日だ。


そもそも旅行に行くこと自体、急に決まったことで。


そう簡単には部屋が取れなかった。


だけど毎日、二人でお昼休みと晩を使って必死になって探し続けたところ、何軒かの空きを見つけた。


その中から良さそうな所を選んでいくと、最終的には少し値段が張るけれど久しぶりだし今回くらいは奮発しようということで、ここからは少し離れたところにある温泉地に泊まることにしたのだ。


「よし……っ」


と、一つ一つ荷物を確認して家を出た。


朱里との待ち合わせ場所は駅前で、朱里の車で運転を交代しながら行くことになっている。


まだ早朝なこともあってか、いつもは人通りが多いこの駅前もほとんど人がいない。


こんなに静かな駅前は初めてで、待ち合わせより早くに来ていた私は少し駅前を散策することにした。


いつも急ぎ足で通り過ぎているからか、知らなかったこともたくさん発見できて。


楽しかったからか、散策時間はあっという間に過ぎていった。


散策が終わって、腕に嵌めている時計を見るともう約束の5分前になっていた。


もうそろそろ来るかな、なんて思いながら今日にプランを考えていると、後ろから車の音が聞こえてきて。


「莉茉!おはよう。待った?」


と朱里が運転席の窓を開けて話しながら来た。