そんな甘い考えは、初日のうちに呆気なく打ち砕かれたけれど。


でもとりあえず、仕事をしているときだけでも忘れていられるならそれでいい。


問題は家に帰ってからだ。


家に帰ると寂しさが一気に襲ってくる。


今まではどうってことのなかった孤独感が、今は相当堪える。


それは渚と再会してから。


一晩を一緒に過ごしてしまってからだ。


このままじゃ絶対に忘れることなんてできないよ……っ。


最近は毎晩泣いてばかりだ。


どうしよう……。そう考えている時に、ふと沙也加のことが思い浮かんできた。


そうだ。沙也加に一度相談してみようかな……。


それから私はすぐに沙也加に電話を掛けた。


大丈夫だよね?もう十時だし流石に赤ちゃんも寝てるよね。


そう少しの不安を残しつつ、応答を待っていると。


「もしもし?」


と、4コール目で電話が繋がった。