お面妖狐





『許可?そんなの必要ないでしょ。
一馬は私が信用してる人の一人だし、
この事件が終われば、一馬はただの一馬になるんだから』


「それって、長州を辞めるってことか?」


『え?あ、うん。そういうことになるね』






辞めると言うか、消えるというか…。

いなくなるというか…。

まぁ、元々いない存在だったからね。





「さ、俺は帰ろうかな」


『うん。でも、その前に血をふこう?』


「あ。んー。大丈夫だろ」


「そんな血だらけで町歩いたら大変な事になるぞ」





犯人は土方だろ。
犯人がなに言ってやがる!





「だって、拭くものないんですもん」


「これやるからふけ」





わー。土方にしては優しい。


一馬が土方からもらった手拭いで自分の血をふいていく。





「お前、傷はどうした?」


「……」