お面妖狐





殺気は出したらダメ。


兄様のお願いを聞かないと。


出したいけどね。





「一君。白夜さんは僕と平助君に会う前からお面をつけてますよ」


「そうだ。生まれつきつけてんだろうな。
兄貴もそうだからな」


「では、他に知られたくない理由があると」


『知ったら、死にますよ。いや、私が斬ります』





例え、優しい人間でも、バレたら隠し通さないといけない。

だから、斬る。





「白夜、そんなことは言うと信用されなくなるぞ?」


『だから、信用しなくていいんです。
信用されると不愉快なんです。わかります?』





そう言うと、部屋の中は静まり返った。





『兄様がいたから言いませんでしたけど、
私は人間と関わることが大っ嫌いなんです。
だから、関わらないでください』





立ち上がり、刀を腰にさしなおして屯所を出た。




兄様。ごめんなさい。
やっぱり、人間とは関わりたくないです。