「おはよう愁ちゃんっ!」
「おはよ。」
夏休みが終わって久しぶりの学校。
愁ちゃんが迎えに来て、
一緒に登校するのがすっかり当たり前になった。
「ストップ。」
え?
「ネクタイ。まだ出来ないの?ほら。」
あ、あぁ・・・忘れてた。
違う・・・・・出来ないんだ。
あたしのスタートはいつもここから。
学校に着けばまたいつもの生活が始まる。
夏休みは熱中症で倒れてから、
特に出掛ける事もせず、皆とも予定が合わなかった。
愁ちゃんは家族で旅行に行ってたし、
みんな帰省で残ってたのはあたしくらい。
「芽生おはよっ!」
「礼ちゃんおはよーっ!礼ちゃん焼けた?」
「やっぱり分かる?塗ってたんだけどなぁ。もう痛くて痛くて。」
礼ちゃんはこの休みの間に、
日焼けをして見事な小麦肌になっていた。
ところどころ赤みがあって痛そう・・・。
「それより本当にびっくりしたよー。いきなり倒れちゃうんだから!大丈夫だった?」
「ごめんねっ!でももう大丈夫!この通りっ!元気だから心配しないでっ!」
「ならいいんだけど。あんま無理しちゃだめよ?」
そ、そうだっ・・・勇志くんにも謝らなきゃ。
えっと・・・勇志くん勇志くん、
あれ?まだ来てないのかな・・・?
「芽生?どうした?」
「あっ愁ちゃん、勇志くんは?」
教室を見渡しても勇志くんの姿は無かった。
「呼んだ?」
「お前ギリギリだぞ~」
振り返ると後ろには勇志くんが立っていた。
び、びっくりしたぁー。
「勇志くんおはよっ!」
「おはよ。体は?もう平気?」
「うんっ!心配かけてごめんねっ。」
あたしが謝ると勇志くんは、
優しく笑ってくれて愁ちゃんに呼ばれると教室に入った。