わたし、式場予約しました!

 どっこいしょ、と言いながら、立ち上がると、ちょうどやってきた同期の雨宮という男がカップを手に、瑠可とシンクの狭い隙間を通りながら、

「ばばくせー」
と言った。

 うるせー、と振り返り、彼に向かい、言った。

「ねえ、九月までに結婚しない?」

「は。
 誰と」

「私と」

「……いいけど」
と言ってきたので、驚いた。

「ごめん。
 ありがとう。

 やっぱ、いいわ」
と言って、出て行くと、雨宮は後ろでなにかわめいていた。

「なんだ今のはっ。
 なにかのテロか!?」

 い、いや、ごめん、と思った。

 しかし、わかった。

 人間って、ああやって言われると、反射的にオッケーしちゃったりするものなんだな。

 たぶん、ほんとに結婚する気もないし、するわけもないだろうが。

 ノリのいい人間だと、思わず、言ってしまうのだろう。

 佐野先輩も、あんな感じで、結婚するとか言ってるだけなんだな、きっと、と結論づける。