わたし、式場予約しました!

「じゃあ、とりあえず、キャンセルな」
と言って、一真は電話を切った。

 うう。
 すぐに次取ってくれるかな。

 まるで、なにかの中毒のように、式場を予約してないと落ち着かないというか。

 なんだか心の拠り所がない気がしていた。

 なんとなく、その場にしゃがみ込む。

 その体勢のせいか、昨日、和歩におぶってもらったことを思い出した。

 ずっとあのまま、家に着かなきゃいいのにと思っていた。

 いや、家に居ても、和歩は居るけど。

 あそこに居る彼は『おにいちゃん』だから。

 そのとき、メールが入ってきた。

 友だちの眞紘(まひろ)からだ。

「あんた、明日、ボルダリング行くって言ったの、忘れてないよね?」
と書いてある。

 はは……。

 忘れるところだった。

 明日か。

 和歩が綾子さんとデートする日だな、と思う。