「二人で行ってきなさいって、西島さんのお父さんが食事券をくれたから」

「そうなの」

 ま、そうなの、以外に返せる言葉はないな、と思いながら、おやすみ、とノブを回したとき、和歩が一歩、こちらに近づいた。

 ノブを掴む手の上に手を重ね、瑠可を見つめる。

 だが、和歩はすぐに目を伏せ、言った。

「おやすみ、瑠可」

「……おやすみ」

 和歩の方が先に部屋に入り、扉は閉まった。