「そうじゃないだろ。
なにぐずぐず炒めてんだ。
べっちゃりするだろ。
お前は火の扱い方がわかっていないっ」
キッチンに響き渡る一真の怒声に、
「はいっ」
と返事をしながら、瑠可は、何故、突然、スポ根もののような展開に?
とコンロの前で思っていた。
最初は瑠可が肉を焼いている間に、一真がテーブルをセッティングしてくれるはずだったのだが。
ごそごそ支度するさまを見て、これは任せておけないと思ったらしい一真が自分で肉を焼いてくれた。
「はいっ。
そのまま、ささっと残った肉で、ガーリックライスを作るっ」
そう指示され、はいっ、と言ったまではよかったが、一真は、一挙手一投足にケチをつけてきた。
「もう〜。
そんなに言うんなら、先輩、自分で炒めてくださいよー」
「それじゃ、お前の花嫁修行にならんだろうが」
いや、頼んでないし。
何故、男に花嫁修行で鍛えられなきゃならないのかも謎だ。
どんな結婚式場のスタッフだ、と思いながらも、言われるがまま、フライパンを振る。
そんなに時間は経ってないはずだが、もう汗だくだ。
無駄に緊張するからだろう。
「うち、電磁調理器なんですよね〜」
と普段、フライパンを振りなれていない理由を言ってみたが、睨まれただけだった。



