夕食の支度を終えた頃、和歩が呑気に帰ってきた。
いや、呑気に帰ってきたわけでもないのだろうが。
なんだか一人が平和そうに見えて、ちょっとムカついたのだ。
どんなときでも、和歩の顔にはあまり感情が出ないと、過去の経験から知ってはいたのだが。
瑠可は二階の廊下で、彼を呼び止める。
「和歩」
「おにいちゃん、だろ」
振り返らずに和歩は言った。
本当に生意気な妹だ、ともらす和歩の背に、つい、すがっていた。
「……どうした」
と和歩が、ぽんぽん、と和歩の身体に回した手を叩く。
「いや。
おにいちゃん、居なくなるんだよね、と思って」
淋しくなった、と言うと、少し笑ったようだった。
「大丈夫だ。
何処に居ても、俺たちは家族だ」
いや、それが嫌なんだけど、と思っていた。



