そこは、こんな街中にいきなり、と思うような、緑溢れるレストランだった。
美術館のようにも見える。
広い個室に通されたのだが、そこからも庭がよく見えた。
「初めまして。
綾子と申します」
兄の嫁になるというその女性は丁寧に頭を下げてきた。
如何にもお嬢様といった風情の、ふわふわした長い髪の人だった。
軽い食事の席と聞いていたのだが、綾子は、きちんと着物を着ていた。
どうしよう。
和歩とめちゃくちゃお似合いだ。
いいような。
悪いような。
ロクでもない女だと嫌だなと思っていたのだが。
似合い過ぎる女が出て来ても、やっぱり、嫌だった。
綾子と目が合うと、彼女は、一瞬の間のあと、にっこりと微笑む。
でも、そうか。
この人がおねえさんになるのか。
それはそれで、なんか悪くないかもな、とぼんやり思う。



