今朝、唐突に思いついた。

 もう結婚するしかないと。

 何故、そんなことを思いついたのか。

 敢えて言うなら、寝不足の目に、朝日が眩し過ぎたからだろうか。

 鬱々とした気持ちが、太陽の効果でか、急に、ぱあーっと晴れて、思ったのだ。

「よしっ。
 結婚しようっ!」
と。

 日曜だったこともあり、その足でまっすぐ、此処まで来てしまったのだが。

 まさか、この人が此処のスタッフだったとは。

 しかも、担当。

「……浜野サマ、担当の佐野でございます」

 嘘くさい挨拶をして、名刺を出してくるので、なんとなく鞄に入れていた名刺を自分も出してきた。

「おっ。
 お前、結構いい会社に就職してんだな」
とそれを見て言う。

「そんなこともないですよ。
 安月給だし」

「……結婚おめでとう」

「ありがとうございます。
 相手は居ませんが」
と言うと、一真は一瞬の間のあと、溜息をついてから言った。

「なにか悩みがあるなら言え」