「ねえ、おにいちゃん、麻美先輩が、おにいちゃんの彼女は本当に存在するのかって言ってたよ」
夕食の席でそう言うと、和歩は、
「……相変わらず、面白いな、麻美は」
と言う。
あんたもな、と思って聞いていた。
上司の勧めで進んでいる話だ。
相手が幻なわけはないのに、何故、家に連れて来ない、と思っていた。
「そういえば、佐野先輩に会ったよ」
ああ、と適当に、和歩は返事をする。
まあ、この二人はたまには会っているのかもしれないな、と思っていた。
家に連れてきたことはないが。
一年に一回くらいは、昔の仲間で集まっているようだから。
「何処で?」
随分経ってから、和歩は、そう訊いてきた。
「け……道端で。
えーと、電柱の側で」
取り繕おうとして、余計おかしくなる。
犬か何かと出会ったかのような言い方をしてしまった。
すると、和歩は、
「そういえば、お前も佐野を連れてきたことはなかったな」
と言い出した。



