通勤途中、いつも電車から見える結婚式場がある。

 山が続いて、それが切れた瞬間に、鮮やかな海と空が広がる。

 そこに白亜の神殿のような結婚式場が突如、現れるのだ。

 仕事へ行く途中、一瞬だけ、夢の世界に迷い込んだような気分になり、憂さが晴れる。

 そんな光景だった。

 だから、いつか結婚するのなら、そこにしよう、そう思っていた。