「ねえ、里さん。
なんかヒネリのある料理ないの」
瑠可は、次の日、会社帰りに里の店に行っていた。
カウンターで、いつものメニューを食べながらそう言うと、忙しげに立ち働く里は、
「定番が一番美味しいのよ。
それが家庭の味で。
家族の味よ」
と言う。
家族か。
今はまだ、それを思えば、和歩が浮かぶが、いずれ、一真へと変わっていくのだろうか。
「ねえ、あんた、ほんとに一真くんと結婚すんの」
「そうだねー。
いい加減な女になりたくないから、一度決めたことを翻したくないっていうか」
「そうなの?
単に怖いだけなんじゃないの?
あの子に和歩と結婚したいって言うのが」
あの子とは、お母さんのことのようだった。
「そりゃそうよ」
と素直に認める。
「どんな恩知らずだって話じゃない?
今日まで娘にしてもらってましたが、明日から、息子さんの嫁にしてくださいとかおかしくない?」
「あんた、ほんとに私の子ども?」



