トイレに行く、と言って、瑠可と別れたあと、麻美は久しぶりに緊張している自分に気がついた。
彼氏と出かけても、今はこんなことはない。
なんなんだろうなー、もうっ、と思いながら、すぐに訪れるはずの昼休みを待つ。
そして、和歩にかけてみた。
急がしくて出ないかも、と思ったが、和歩はすぐに出てくれた。
「二階堂か」
とこちらがしゃべる前に言ったので、なんでわかったんだろうっ、と感激したが、よく考えたら、携帯の番号を勝手に消したのは自分なので、和歩の方には残っているはずだった。
単に着信に表示された名前を見て言ったのだろう。
和歩にとっては、自分の携帯番号など、自分にとっての、一真のそれと同じだ。
あってもかけないから、あってもなくても関係ない。
「……和歩」
と言った声が、思ったよりも掠れていた。
あ〜、もうちょっと可愛い声で出たかったのに。
緊張で喉が締まってしまったらしい。
「あの、ちょっと話があるんだけど。
今度、会えない?」
少し間があり、
「……いいけど?」
と和歩は言ってきた。
そう言われたら、嬉しいかと思ったが、特に嬉しくはなかった。
なんだか余計、苦しくなっただけだ。
和歩は自分がなんの話があると思ってるんだろうな。
そう思って。



