わたし、式場予約しました!

「大丈夫? 浜野さん」

 隣の席のおばさまがそう訊いてくれる。

「あー、大丈夫です。
 ちょっと寝不足なだけで。

 今、眠り薬を盛られて、膝に短刀を突き立てる忍者の気持ちがすごくよくわかるな、と思っていたところです」

「……ちょっと外、歩いてきたら?」

 人の良いおばさまを不安がらせてしまった。

 ありがとうございます、と言い、瑠可は席を立った。

 大きく伸びをしながら、日差しの強い渡り廊下を歩く。

 別棟まで行って、なにか飲み物でも買ってこよう。

 そう思ったとき、向こうから、麻美がやってきた。

 麻美のちょっと色気を感じるような、いい香りがふんわりと漂ってくる気がする。

 匂いというより、彼女の放つ気配なのかもしれないが。

「麻美先輩っ」
と瑠可は、忠犬ハチ公のように駆け寄った。

「何処行くの?」
と素敵な笑顔で、麻美が訊いてくる。

「ちょっと眠くて。
 ジュースを買いに」
と笑うと、

「じゃあ、私も行こうかな」
と言う。

 麻美は一緒に、今来た通りを引き返してくれた。