外からまだ、瑠可と一真が騒いでいる声が聞こえる。
母親は、瑠可が二階から下ろしてきた、開いたお菓子の箱からひとつ取ってかじりながら、
「瑠可は、一真くんと付き合ってたの?」
と呑気に訊いてきた。
あれだけの会話で、一真が自分に会いに来たわけではないとわかったようだった。
「さあね」
と和歩は、そっけなく答える。
「でも、まあ、一真くんが息子って悪くないわね。
瑠可は私に似て、面食いね」
と夫に微笑みかけ、おいおい、と父親が照れていた。
勝手にやってててください……。
まあ、両親、仲がいいのはいいことだが。
里のかつての家庭を思い出し、心底、そう思う。
酒の入っていた両親はさっさと寝てしまい、和歩も部屋へと上がった。
夕食は用意してあったようだが、久しぶりに里の手料理を食べて満足していたので、それは冷蔵庫にしまってきた。
白い壁を見つめる。
瑠可の気配はまだ部屋にない。
一真と外で話しているのか。
見ようとしてやめた。



