わたし、式場予約しました!

「瑠可」
と一真が肘でつつく。

「おい、お菓子」

 持ってきた菓子箱を両親に渡したかったようだ。

 手ぶらだと格好がつかないからだろう。

「いや、もう、開けて食べちゃったし。
 先輩も食べたじゃない」

 お菓子見せて、よく言っときますよ、というと、一真は、

「あの……またご挨拶に伺います」
と酔っている両親に言い、二人と愛想よく話してから帰っていった。

 自分がかばってしまったのだから、仕方がない。

 強姦魔を見送る。

 車の屋根にすがった一真は、溜息をついて言った。

「あー、緊張した」

「先輩でも、緊張するんですか」

「お前も、一度、お嬢さんをくださいとか言ってみろ」

「いや、言う機会ないですから」

「此処まで大事に育てた娘さんをくださいって言うんだぞ。
 ちゃんとしないと申し訳ないだろう」
と大真面目に言うので笑ってしまった。

 一真のこういったところは好きだ。