開けると言っているのに、一真は律儀にチャイムを鳴らしてきた。
「はいはい」
と言いながら、パジャマの上にカーディガンを羽織って、ドアを開ける。
「ほら」
といきなり、一真が袋を突き出してきた。
よく見かける洋菓子屋のくすんだ赤い紙袋だ。
「え。
ありがとうございます」
「ついでに、ご両親に会えたら、挨拶しとこうかと思ったんだが」
「お気遣いなく」
と言うと、
「お気遣うだろ。
俺の両親にもなる方だ。
……そうか。
すると、和歩もあまり邪険には出来ないな」
と言い出した。
今まで邪険に扱ってたのか。
こちらを見、
「パジャマ、可愛いな」
と一真は笑う。
ダブルガーゼに小花柄の、お気に入りの一枚だったので、つい、機嫌よく、
「ありがとうございます」
と微笑んだ隙に一真は、
「すぐ帰るが、お前の部屋だけ見てみたいな」
と上がりこんでしまった。



