わたし、式場予約しました!

「待って。
 ちょっと待って。

 私だって、一番は上まで上がれたのよ。

 っていうか、上がるのは上がれるのよ。

 下りられないだけよっ。

 足を下ろす場所がわからなくなるのよ。

 登るときは、上だけ見てればいいけど。

 下りるときは、下見なきゃいけないから、高さがあって、クラッと来るし。

 おにいさんは落ちても大丈夫。

 わからなくなったら、飛び降りてくださいって言うけど、飛び降りたくないんだもんーっ」

 そうやって、熱く語っている間、綾子は楽しそうに聞いていた。

「で、結局、どうなんだ。
 楽しかったのか?」
と聞いてくる和歩に、

「うん。
 でも、二度と行かない」
と言うと、眞紘がええーっという顔をし、綾子が吹き出した。

「私、行ってみたいわ」
「着物でですか」

「馬鹿か、お前は」

 いや、上に上がっている間、なんでもいいから、捕まるものが欲しいと思っていたので、今、帯を見て、とっさに、ヤバくなったら、これを外して、投げて、何処かに引っ掛けたら、と思ってしまったのだ。

 もちろん、飛び降りるより遥かに難しい行為だが、まだ、ボルダリングの恐怖にやられている瑠可は、冷静な判断力を失っていた。