わたし、式場予約しました!

「では、まず、そこの番号をたどって登っていってください。

 一番楽なコースです」
とお兄さんが、岩の代わりになる突起物、ホールドという、カラフルな石のようなものに振られた番号をレーザーポインターで示しながら、爽やかな笑顔で言う。

 その番号は当たり前だが、一番上まで続いていた。

 登りたいところまで登って下りていいのだと思っていたが、どうもそのような雰囲気でもない。

「さあ。
 此処から順番に。

 こちらに行くほど、難しくなりますっ。

 大丈夫です。
 未だかつて、この辺の番号くらいまでは、登れなかった人は居ません」

 ……では、私がその第1号ですね、と思いながら、瑠可は聞いていた。

 このお兄さん、明日からなんて説明するんだろう。

『此処を登れなかった人は、今までに、たった一人だけです!

 大丈夫っ』
とでも?

 そうして、私の名が語り継がれていくのかもしれない、とマッキンリーより高く見える壁を見上げて、瑠可は思った。

 眞紘は既に猿のように上まで上がってしまっている。

 下りてきた彼女は、

「はいっ。
 次、瑠可よっ」
とすっきりしたような笑顔で言ってきた。

 今、このまま、此処で意識を失いたい……。

 そう瑠可は願った。