ステージの上に立つ。
暗闇が、あたしの心を侵蝕しようとする。
蝕む黒を引きちぎり、まっさらな綾瀬の想いを、心で感じる。
綾瀬のギターで始まるこの曲は、あたしが初めて綾瀬をテレビで観たときの曲。
巨大ビジョンに映った綾瀬を見て、涙を流したっけ。
あのときに決意したんだ。
あたしは歌う、って。
このグループのボーカルとして。
綾瀬の隣で。
あたしは歌うんだって。
ねぇ、綾瀬。
ひとりじゃないよ。
あなたは、ひとりじゃない。
この曲を作ったのも俺一人だって言ったけど、それは違う。
確かにあなたは、作詞も作曲もしたのかもしれない。
だけど、この曲が出来上がるまでには、何人もの協力が必要だった。
その人達無しでは、この曲の完成はあり得なかった。
だから。
自分一人で作ったんじゃない。
みんなで、作ったんだよ。
そんなことも見えないくらい、君の心は孤独なんだね。
あたしは、歌うよ。
自分のために、
みんなのために。
そして、あなたのために。