ちらりと、ラザーを見遣った眸の軌跡だけが、空気に線を引くように微かに残る。

 凍えた名残を追うように、ラザーはひとつだけ残された眸を閉じる。

「知らないのでしょう、あなたは……」

 もう一度、ラザーは呟いた。