浅い眠りの狭間。

 汗ばむ身体を持て余しながら、シェイスは夢を見ていた。

 ――かしん、かしん、と。

 硬いものでなにかを傷付ける音。

「大陸の東側に広がる肥沃地帯を中原と呼ぶ。

 ふたつの川の恩恵を授かる、豊かな場所だ」

 丸く磨き抜かれた爪が砂に汚れている。

 白砂の塊を手にして、砂じみた石の床に拙い地図を書き付ける指。

 褪せた金色の髪にも、刺繍を施した衣にも影が落ちる。

 乾き捨てられた水場の、崩れ掛けた古い聖堂。

 そこがジャスパ王とシェイスの逢瀬の場だった。