溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】



「俺ばかり、どんどんお前を好きになっていく」


そんなことない。

私だって、素直な可愛い反応ができないだけで。いつの間にか、こんなに……。

散々私の気持ちをひっかきまわしておいて、どうして肝心のところには気づかないの?


男なんて、皆卑小なやつばかりだと思っていた。

自分より小さくてか弱い女には威張ってばかりで、大きくて強い女には敵わないから、陰口ばかり。

気にいられたい女にだけへこへこ頭を下げる男は、もっと卑小で嫌いだ。

それは私の偏見かもしれないけど、実際に私の周りの男は、そんなやつばかりだった。

でも新城さんは、違う。

大きくて、力が強くて、可愛げのない私を、守ろうとしてくれる。

可愛いと言ってくれて、好きだとも言ってくれる。


「私……」


結婚なんてまだまだ考えられないけれど、私はあなたのことが……。

大事な気持ちが口の先から出かけた、そのとき。


「おい、新城はいるか」


バンと大きな音がして、処置室の引き戸が勢いよく開いた。


「わあ!」

「あ、篠田……さん」