1つ目は、あたしの見た目と性格だろう。
今までのあたしの経験から言って、地味な子は基本いじめられやすい。
その上あたしはクラスでは真宮くん以外には話さない、無口な人だ。
地味で無口は、いじめには良いターゲットなのだろう。
親や先生に言う心配がなくなるから。
…勝手な思い込みなのに。
2つ目は、あたしの席の前に座る彼―――真宮くんのことだろう。
女子は簡単に嫉妬してしまう人が多いから。
…きっと妙子は、真宮くんが好きだ。
だから地味で目立たない無口なあたしが、真宮くんと話すのが、許せないのだろう。
妙子が好きなのかは、わからない。
もしかしたら、里沙とか取り巻きが好きなのかも。
女子は仲間意識が高いと思うから。
仲の良い友達の好きな人が、こんな地味な人と話しているところを見るのは、許せないんだろうな。
念のため言っておくけど、あたしは決して真宮くんへ自分から話しかけたのではない。
入学式の時、彼の生徒手帳をあたしが拾って、それから話すようになったのだ。
彼は色々な人に優しく、積極的に話しかけてくれる。
初めはあたしも話さず、ただ首を上下左右に振って、反応をしていたけど。
さすがに毎日色々な話をしてくれる彼に対して申し訳なくなって。
少しだけど、あたしからも話すようになった。
「…あ、やべ。
ミミちゃん、数学の教科書持ってる?
もし良ければ、授業中見せてほしいんだけど…」
「良いよ」
振り向いて、少年のような無邪気な笑顔で、「ありがと」と言ってくれる真宮くん。
真宮くんと話すと、少しドキドキするの。
彼と話すのが、凄く嬉しくて。
いじめに負けないでいられるのも、真宮くんのお蔭だと思う。
…このあったかい、ほっこりとした気持ち。
なんて言うのかしら……?