大っ嫌いだ、ばかやろう!-最強ヤンキーの不器用な溺愛-

龍生はそのまま何も言わずに帰っていった。


思わず廊下に顔を出して見送ると、

その背中は、いつになくどんよりしていて、あのちんぴら的な歩き方ではなく、項垂れてとぼとぼと歩いていく。


―――なんなのよ。

なんかあたしが悪いことしたみたいで、申し訳なくなっちゃうんだけど。



困ったやつだ、とため息をついたとき、「佐伯」と高田くんに呼ばれた。



「なんか、ごめんな。

俺、余計なことしちゃった?」



あたしはぶんぶんと首を振る。



「ぜんぜん! ぜんっぜん余計なんかじゃないよ!

むしろすごくか……っ」



かっこよかった、という言葉が口から飛び出しそうになって、あたしは慌てて軌道修正をする。



「………か、感謝してるよ!」



よし、うまくいった。

日本語に感謝という言葉が存在することに、心から感謝する。


高田くんが「そう?」と首をかしげて、安心したように微笑んだ。



「それならよかった。

もしかして佐伯、本当は赤川先輩のこと好きで、呼び出されたりして嬉しかったのかな、って不安になった」