「………まさか、あいつのことか?」
龍生が眉を下げて、なぜか不安そうに、やけに情けない声で訊ねてきた。
「へ? あいつ?」
首を傾げて問い返すと、龍生が唇をかすかに尖らせる。
「あいつだよ! 高田とかいう、あの………」
「高田くん? ちがうちがう」
首を横に振ると、龍生がほっとしたように息をもらした。
「ふん。ちがうのか。………じゃあ、いい」
龍生は頷いて、再び参考書をめくりはじめた。
あたしはまだひりひりする鼻に軽く触れる。
それから、なんとなく思った。
高田くんに手を握られただけで、あんなに居心地の悪い思いをしたのに、
どうして、龍生に触れられたのは、全然気にならないんだろう―――
龍生が眉を下げて、なぜか不安そうに、やけに情けない声で訊ねてきた。
「へ? あいつ?」
首を傾げて問い返すと、龍生が唇をかすかに尖らせる。
「あいつだよ! 高田とかいう、あの………」
「高田くん? ちがうちがう」
首を横に振ると、龍生がほっとしたように息をもらした。
「ふん。ちがうのか。………じゃあ、いい」
龍生は頷いて、再び参考書をめくりはじめた。
あたしはまだひりひりする鼻に軽く触れる。
それから、なんとなく思った。
高田くんに手を握られただけで、あんなに居心地の悪い思いをしたのに、
どうして、龍生に触れられたのは、全然気にならないんだろう―――



