大っ嫌いだ、ばかやろう!-最強ヤンキーの不器用な溺愛-

なんだか疲れた。


帰りたいな、と唐突に思う。

帰って、お母さんと一緒にテレビを見て、オーレと遊びたい。



そう思ったら、もう帰りたくてしかたがなくなってきた。


履きなれないヒールの高いミュールのせいで足が痛くなってきたのも、さらにその気持ちに拍車をかけた。



気合いを入れて服を選んだ昨日の夜の自分が、まるで別人みたいに感じる。


あのときは初めて男の子と出かけるんだと思ってわくわくしていて、

まさかこんなふうに『はやく帰りたい』なんていう気持ちになるなんて、思ってもみなかった。



「………あの、高田くん」



あたしは勇気をふりしぼって声をあげた。


高田くんが「なに?」とさわやかな笑顔であたしを見た。


その顔を見ていると、帰りたいなんて言えなくて、しどろもどろになってしまう。



「えーと………最近うちね、犬を飼いはじめて」


「へえ、そうなんだ」


「で、その犬の散歩がね、あたしの係で」


「うん」


「だから、そろそろ帰らなきゃいけないなー、なんて」