大っ嫌いだ、ばかやろう!-最強ヤンキーの不器用な溺愛-

数メートルの距離まで近づいたとき、やっと分かった。



それは、やけに背の高い男子生徒の髪なのだ。




「………もしかして、眠れる赤龍?」




有香が独り言のようにぼそりと呟いた。



それを耳にしながら、あたしは唖然として前を見つめる。




腰まで下げたズボンのポケットに両手を突っ込み、


肩で風を切るように、どすどすとがに股で歩き、


眉間に皺を寄せて左右の生徒たちをじろじろと睨みつけている、威圧的な姿。



真っ赤に染められた髪は朝日を受けてぎらぎらと輝き、

耳には金色のピアスが煌めいている。



第二ボタンまで開いた襟元から覗く、金色のネックレスと真っ赤なシャツが眩しい。




………うっわ、こわー。


マジのヤンキーじゃん。



あたしの中学はけっこう大人しい学校で、ここまで絵に描いたような『いかにも』な不良はいなかったのだ。




あまりの珍しさに、思わず凝視してしまう。



………それがいけなかった。