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「あー、おもしろかったー。
佐伯はどうだった?」
映画館から出ると、高田くんがにこにこしながら訊ねてきた。
『あんまり頭に入ってこなかった』なんて答えられる雰囲気じゃない。
「うん、めっちゃおもしろかった」
精一杯の笑顔で答えるものの、あたしの意識は右手に集中している。
高田くんにしっかりと握られた右手に。
高田くんは指を絡めたまま、
「ちょっとお茶でもしようか」
と歩き出した。
映画が終わったら手を離してくれるかと思ったのに、どうやらそんな気はないらしい。
そんなふうに考えてしまってから、自己嫌悪に陥った。
人気者でモテモテの高田くんが、あたしなんかと手をつないでくれてるっていうのに、
離してほしいと思うなんて、あたしったらどれだけ調子のってるの?



