*
「ごめん、高田くん! 待った?」
約束の5分前に待ち合わせ場所に着くように行ったのに、高田くんはすでに花壇に腰かけて待っていた。
女の子を待たせたら悪いと思ってるんだ、きっと。
どこまで紳士なんだろう。
あたしが駆け寄ると、高田くんはすらりと立ち上がって「おはよ」と手をあげた。
「ぜんぜん待ってないよ。
俺がちょっと早く着いちゃっただけだし、気にしないで」
いつも通りのさわやかな笑顔を浮かべている高田くん。
胸が高鳴るのを感じた。
「佐伯、もう昼飯たべた?」
「ううん、まだ」
「じゃ、とりあえず腹ごしらえしようか」
高田くんはにこりと笑って、すっと手を伸ばしてくる。
え?と思っていると、そのままあたしの肩に軽く手をのせて、導くように歩き出した。
突然のボディタッチに、あたしは驚いて声も出ない。
男の子と接触したのなんて、小学校三年生の運動会のフォークダンス以来だ。



