この二年間で、
誰かと食事をしたのは
三週間前のファミレスで
四浦と桜耶と三人で
食べたのが初めてだった。

『はぁ~
わかった、
今日は夕飯
食べに行くよ』

やっと折れた俺に
満足げに笑った四浦は
何が食べたいか訊いてきた。

基本的に何でもいい。

自炊をする俺は
大抵の物は作れる。

『じゃぁ、
四浦の一番得意な物で』

特に思い付かなかったから
そう言ってみた。

「了解」

返事をした後、
徐に、ポケットに手を入れ、
煙草を取り出した。

この三週間で
色々わかったことは
四浦が親バカでだけど
干渉はあまりしないとか
休日は桜耶と思いっきり
遊んでやることとか
それをリアルタイムで
俺に送ってくることとか。


三ヶ月後、
週末に四浦家に
行くのが当たり前になっていた。

時には泊まることもあり、
桜耶も[マサ兄ちゃん]と呼んでくれて
四浦まで家の中限定で
柾と呼び、俺も満彦と
お互いを下の名前で
呼ぶようになっていた。

だから、少し
気が抜けていたのかも知れない。

まさか、別れた奥さんが
俺たちが三人で歩いてる
写真を校長に送っていたなんて……

「二人とも、呼び出してすまないね」

高校最後の夏休みまで
後二週間となった
ある月曜日に俺と四浦は
校長室に呼ばれて
例の写真を見せられた。

そこに写っているのは、
俺と四浦と真ん中に桜耶がいる。

三人で手を繋ぎ、
俺たちの手には
片方ずつ買い物袋が
握られている。

そう、これは三人で
買い物に行った時の写真だ。

小二になる桜耶は
普段は父親に気を使い
大体のことは自分でやる。

だけど、週末、
特に俺が行くと
少々我儘になる。