満彦の言葉が
信じられないのだろう。

「何だったら証明してやろうか?」

ニヤリと笑った満彦は
隣にいる俺を自分の方に向かせ
顔を近付け、後頭部を
押さえてキスをした。

突然のキスに
驚いたがすぐに
目を瞑り、ねだるように
満彦にしがみついた。

見せつけるように
エスカレートしていく。

唇を離して
満彦は言った。

「これでわかっただろう?
それと、須寿垣に
俺たちの事を言っても
無駄だからな。
柾はもう須寿垣の生徒じゃないからな」

告げられた真実に元妻は
目を見開いている。

『そういうことですよ』

勝ち誇った顔をしてやった。

立ち上がり、俺を
殴ろうとしたが
それは叶わなかった。

何故なら、両手首を
タオルで縛ってあるからだ。

そう、さっき
洗面所から持って来たやつだ。

「わかっただろう、
柾はもう須寿垣の
生徒じゃないし
俺たちは恋人同士だ。
そのタオルは外してやるから
二度と此処に来るな‼」

満彦は元妻を玄関まで
連れて行き、タオルを
外してやりながら
もう一度言った。

「二度と此処に来るな」

そして、玄関を
少々乱暴に閉めた。