次の日の夕方

私は弦と、とあるオフィスビルの
前に来ていた

昨晩、弦に電話をかけたのは
雪也がほっとけなかった…いや
ほっておきたくなかったからだ


《頼みごと?》

「うん。雪也のお父さんに会わせて欲しい」

《叔父さんに?》

「うん」

《…、分かった》


雪也のお父さんは家電製作会社の営業部で
普段はオフィス内で仕事をしていて
たまに出張で出かけているらしい

オフィス前の植え込みに座って
缶コーヒー片手に雪也のお父さんが
出てくるのを待つ

勿論、コーヒーはブラックだ