恋が都合よく落ちてるわけない



台風かあ。

やっと、
書類を完成させたっていうのに、
他の管理職だって、みんな帰っちゃうし。

何の為に急いだのよ。まったく。
せっかく仕事の後の一杯を楽しみにしてたのに。



誰かいないかなあと思って、


往生際の悪いことに
フロア見渡しても、誰もいやしない。



時々、窓の方から音がするだけ。
何気なく、窓を見た。


ひゅー ひゅー吹き荒れてる風と、
窓ガラスをさらに叩きつける大雨。

街路樹が狂ったように揺れている。
さっきより悪化してる。




「えええっー!! 何これ!

帰れない心配するんじゃなくて、
そもそも、外に出られないよ」



思わず、窓際に
駆け寄って、窓ガラスにぺたっと張りつく。



それに、急に、
一人ボッチだったことが、身にしみる。