恋が都合よく落ちてるわけない

奥にも、更に車が数台、
停められるようになっている。


須田さんに手を引っ張られて、
駐車場から、
エレベーターで部屋まであがる。


この間の経理の女の子も、
ここに来たのだろうか。


ドアの前で須田さんが、
鍵を開けるのを待っ。

このフロアに他の部屋はない。



鍵を開け中に入る。中は、大きなリビングといくつかの部屋に分かれていた。

ちょっと変わった部屋の作り、
珍しい感じがした。


「この間の経理の子は、
ここに来てないぞ」


「そんな事聞いてません」



「うちの事務所が下にあって、
彼女はそこに連れて言った。

因みに親父も同席したこら、
君が心配するようなことはない」


「だったら、なぜあの時、
そう言わないの?」



「そりゃあもう、
名札や社員章に気づいた
千鶴ちゃんは、

きっと俺が、女の子と二人で、
どうしてるかなと、
一晩、悩むだろうと…」


「焼きもち焼かせるために、
あんなこと言ったの?」


「仕方ないだろう?誰かさんが、
別の男をずっと褒めてるし。そいつのこと好きって顔で、ぼおっとしてるし」



「あきれた…」



「今、考えると、
まるで余裕なんてなかったな」



「何で、深雪さんに会わせたの?」



「貴司のこと、
あまり深入りしてほしくないから」



「深入りしようにも、岡崎さん、
相手になってくれなかった」



「そんなことない。
あいつだって、
自信があれば俺を頼ったりしない」


「岡崎さんが須田さん呼んだの?」


「ああ」


「何かあったら、
両方の仕事にも影響するから」



「そんな大袈裟な」



「冗談じゃすまない。
もう、岡崎のことは諦めろ」



「諦めるもなにも、深雪さんがいるし。
壊すようなことしないよ。

あなたは?あなたはどうなの?」

深雪さんて、友達の奥さんじゃないの」



「ああ…」