「ええっ! どうしたんですか、そんなこと、止めてください」
私は、小さなお母様の肩を起こそうとしている。
「ち、千鶴さん、あの…あ」
「大丈夫ですから、
ゆっくり言って下さい」
「ひ、…仁志を」
「仁志さんとは、別れません。お母様にどんなに言われても」
お母様は、顔を上げた。
「よかった…あの、アホ息子、千鶴さんに飽きれたんじゃないかと
気が気じゃなくて…」
「仁志さんが、どうかしたんですか?」
「前の時と同じで、自分は忙しくて、家の設計まで、彼女に任せて…」
「深雪さんですか…」
「はい。あのアホは、彼女の負担とか苦労たとか考えず、毎日どうかしたのかっていうくらい浮かれてて」
「前も同じだったんですか?」
驚いた。
うすうすも、感じてなかったんだ。だから、ある日突然ってことに。
それは、立ち直れない…
「お母様、私は、深雪さんと違って、神経が細やかじゃないし、不満があれば、仁志さんにぶつけます」
「そうだろうと思った…」
「ええ…」
私、神経は細やかじゃありませんけど、無神経ではないですよ。
「あの子は…アホですが、千鶴さんの事が本気で好きなようです。あの子をよろしくお願いいたします」
お母様は、丁寧にみつ指をついて頭を下げた。
私は、耳の後ろまで真っ赤になった
お母様の小さなからだを抱き上げた。
何て、可愛いの…
息子の事より好きになりそう。


