恋が都合よく落ちてるわけない

駅まで送ってもらうだけのハズが、朝のスウェットの上下から、着替えてびしっとジャケットを羽織ってオシャレしている。

「せっかく来てくれたんだから、街中を少し、案内してあげるよ。この時期の軽井沢は最高だからね」

それで着替えて来てくれたんだ。

「ありがとうございます」
本当はそんな気分じゃないんだけと。専務相手にいいですとは、言えない。

「じゃあ、行こうか」

私は、専務の車に荷物を運んで、車に乗り込んだ。西川さんと陽子さんが見送ってくれた。

専務は、しばらく車を走らせると、小さな店に車を止めた。レストランかなと私は思った。

「観光は、ちょっと待ってね」

「はい」

「仁志のことなんだけど…」

「はい…」

「仁志とは、父親の代から仕事で付き合いがあって、知り合ったのは、ずっと前からなんだ」

「はい」

「だから、やっぱり戻るよ」

「はああ?」