恋が都合よく落ちてるわけない

手から離れてしまった紙袋のことは、
忘れて、奥田さんがひるんでいる
すきに、トイレから、飛び出して、
みんながいるフロアの方へ向かった。


必死に走っていて、廊下で何かにぶつかった。壁みたいなのに、弾き飛ばされた。

「痛っ !!」

「悪い、つい構えちゃって。」仁志さんが、私を起こしてくれた。

「奥田さんが」
とまでいいかけて、私は口をつぐんだ。

「どうした?」

「やっぱり、いい」

実害は、私が脅されたのと、西川さんからもらったジュエリー。

奥田さんが、私をナイフで脅そうとした
だなんて、信じてもらえるだろうか?

しかも、ジュエリーは
手元にあっても仕方のないものだ。
たとえ、
人生で初めてもらった物だとしても。


「千鶴?何があった」