恋が都合よく落ちてるわけない

ジュエリーショップの紙袋。
その中の小さな小箱。
きれいにリボンがかけられている。
紙袋を取り囲んで、人が集まっていた。

宝物が見つかったみたいに、みんなが、駆け寄って来たけれど、誰も開けてみてくださいよと言う人がいなかった。


「見つかったもんが重すぎる…」
そのうちの一人が言った。

「いいよ、開けようよ」と私。
早く終わらせたい。

この場に長くいたくないから。


「う~ん」
岡崎さんが、唸ってる。


「須田さんは?」
と何気なく誰かが言った。

そうだ、と皆がこの場に相応しい
適任者を思い出した。


「ええっ?」何で須田さんを?


「君に来なくていいって言われて、
ロビーですねてるかも。呼んでくるか」


「いいです。私が、
須田さんとこに行ってきます」

私は、
紙袋を持ってフロアを出ようとした。


岡崎さんが声をかけてくれた。
「千鶴ちゃん?電話で、あいつ呼べば?」


「いいえ。大丈夫です」


どうせ、話すならみんながいるところより、二人だけの方がいい。


ホールで、エレベーターが下りてくるのを待ち、仁志さんにどう話そうか、考えていた。


私は、乱れた髮と服装が気になって、仁志さんに会う前にトイレに寄ろうと思った。

エレベーターの扉が開いたけれど、それを無視して、8階のトイレに向かった。