恋が都合よく落ちてるわけない

「まず、奥田さんが何に気がついて、西川課長になんて報告したのですか?」

私は、メモを見ながら言う。

「う~んとね。帳票のお金の流れが気になって、伝票を調べていったら、取引先にその取引は見覚えがない、って言われたの。私が見つけたものを幾つか課長に報告したの」

「課長は?」

「しばらく考え込んで、この件は僕に任せてって言われて、私は、かかわらなくなった」

「課長は、報告を受けた後どうしましたか?」

「一つ一つ調べてたと思います。結構な範囲で期間も短くなかったから、大変だったと思う」

「須田さんにも、同じことを?」


「ええ。もう少し、詳しくですけど」


「奥田さんは、課長が伝票を誤魔化したと思ってますか?」


「課長が?まさか…」


「どうしてそう思うの?」


「真面目な人ですから」


そうなのだ。人は見かけによらないと言われるが、課長は中身もそのままなのだろ


「誤魔化さなきゃ殺すって言われたら、やっと手をつけるかな」と私。


「ふふっ」と、笑う奥田さん。


「じゃあ、奥さんが話してたのは、
西川さんがまとめた資料のことね」


「資料は西川さんが持ってる
可能性はないの?」

「持ってると思うわ。
でも、いくら正しくても、
ずっと世話になった専務を
裏切る訳にはいかないんだと思う」


「専務?」落合君と二人でハモった。


「嫌だ。知らなかった?
お金を使ったのは専務よ」