当のオーレリアンは素知らぬ顔で本を読んでいる。

フェオドールと静理はテレビに視線をやっているため聞いているのかいないのか。

とにかく、兄弟全員が居間にいるこの状況は小鳥にとって予想外だった。


(なんでこんな時に限って皆さん揃ってるの!?)


吸血された後は誰かと会うのが気まずい。

何となく、気まずいのだ。

「わ、私、部屋に戻…」

「ダーメ。逃がさないよ、小鳥」

逃げようとする小鳥を白魔が後ろから抱きしめる。

すると、鎖骨の傷を確認するべく長身のカロンが前屈みになった。

「どれどれ、この噛み痕は……えっ………おいおい冗談だろ?」

目を見張るカロンに、ギクリと固まる小鳥。


(バレ、たの…?)


別に秘密にしろと命令されたわけではないが、何となく恐ろしくてチラリとオーレリアンの反応をうかがう。

横目に見た彼は、至って平然と読書中だ。


「これ………オーレリアン?」


耳元で白魔の声がした。

「はあ!?何言ってんだよ。それだけは有り得ないって!あのオーレリアンが牙使って血を飲むわけ…」

言いながら噛み傷を見た瞬間、ルカの顔はサーッと青くなった。